光の家族|2026年1月7日

光の家族ものがたり

光が戻ったその場所には、
ほんのりとした温かさが
空気に溶け込むように漂っていました。

それは、
焚き火のような強い熱ではありません。
触れれば消えてしまいそうな、
やわらかな温度でした。

光は、そのぬくもりの中心に
まだ形を持たない“気配”を感じました。

ーーああ。
ここにいたんだ。

光は胸の奥でそうつぶやきました。

その気配は、
まるで幼い子のように
小さく震えているようにも、
深い森の奥に響く
古い歌のようにも感じられました。

ああ、僕もその中に入りたい。
光の中に。

僕はそこに入っていいのかな。
ためらいました。

そうすると、向こうにいる光が
ぽっとろうそくの光を灯したように、
光を呼び込んだのです。

ここにいるよ。
大丈夫。

光はその声に
安心しました。

ああ、温かい。

光は、
そっと両手を胸の前で合わせ、
呼吸をゆっくりと整えました。

相手が誰なのかも、
どこから来たのかも、
まだわからない。

でも、光は進むことにしました。

光は進むと決めたその一歩を
そっと踏み出しました。

足元には道らしい道はなく、
ただ、淡く光る粒子が
ふわりと漂っているだけでした。

でも、不思議と迷いはありませんでした。

向こう側の光が
小さく揺れながら、
まるで“ここだよ”と
導いてくれていたからです。

光はその導きに
自分の呼吸を合わせました。

吸って、
吐いて。

光に、
光を重ねるように。

少しずつ近づくと、
遠くにいたはずの気配が、
まるで胸の中に入り込んでくるような
近さを持ち始めました。

ーーこわくないよ。

その声は、
言葉ではなく、
温度で伝わってくるようでした。

光は一瞬だけ立ち止まりました。

進んでもいいのかな。
本当に、
この場所に入ってしまっていいのかな。

そんな迷いが
胸の奥に小さく浮かびました。

そのときでした。

向こう側から、
ふわりと柔らかい光が伸びてきて、
光の手にそっと触れたのです。

冷たくもなく、
熱くもなく、
ただ、“受け入れる”という気持ちだけが
透き通るように伝わりました。

ーー大丈夫。

そう聞こえた瞬間、
光は胸の緊張がほどけるのを感じました。

ああ……。
こんなにも優しい世界が
あったなんて。

光は目を閉じました。
そして、自分の中の小さな声に
正直になりました。

ーーありがとう。
僕、行くよ。

そうつぶやいたとき、
光の身体がわずかに温まりました。

まるで、
その決意を喜んでくれるかのように。

光はゆっくりと歩き出しました。
迷いはもうありませんでした。

僕はこの世界に
足をのばす。

そして、
僕の光を選ぶ。

光は、
光の世界に、
そっと溶け込んでいきました。

光の溶けていった先で、
また新しい気配が、
静かに息をしていました。

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