流れが変わる前、人はなぜ静かになるのか
年末という時期に入ると、
世界はどこか騒がしく見える一方で、
人の内側は静かになっていくような感覚が強まります。
忙しさは続いているはずなのに、
判断が鈍ったり、
言葉が少なくなったり、
何かを決めることを、少しだけ保留したくなる。
この状態を、
「流れが止まっているのではないか」
と不安に感じる人もいるかもしれません。
けれど、静かになることと、
流れが止まることは、同じではありません。
静けさは「停止」ではない
私たちはつい、
動いている=進んでいる
静か=停滞している
と考えてしまいがちです。
しかし、自然の流れを見てみると、
本当に大きな変化の前には、
必ず一度、静かな時間が訪れます。
波が高くなる前の、引き。
呼吸が深くなる前の、間。
音楽でいえば、次の展開に入る直前の無音。
動きが消えたように見えるその瞬間にも、
内側では、確実に次の準備が進んでいます。
人の心も、それと同じです。
意識は「外」から「内」へ戻る
流れが切り替わる前、
人の意識は自然と外側から内側へ戻っていきます。
・何をすべきか
・どう評価されるか
・どの流れに乗るべきか
そうした外向きの問いよりも、
・本当はどう感じているのか
・何を選びたいのか
・どんな状態で在りたいのか
という、内側の問いが前に出てくる。
この切り替えの最中に、
人は「静か」になります。
それは、迷っているからではなく、
主導権が自分の内側に戻っている状態とも言えます。
流れに乗るかどうかは、選択である
流れという言葉は、
ときに「逆らえないもの」のように語られます。
けれど実際には、
流れを感じ取ることと、
その流れに乗ることは、別です。
感じたうえで、乗ることもできる。
感じたうえで、今は乗らないと決めることもできる。
どちらが正しいかではありません。
大切なのは、
自分で選んでいるかどうかです。
静かになる時間は、
誰かや何かに委ねるためのものではなく、
自分で選ぶ感覚を取り戻すための時間なのです。
静けさは、選択の準備期間
今、静かであること。
決断を急がないこと。
答えをすぐに出さないこと。
それらは、弱さではありません。
むしろ、
次の流れに入る前に、
自分の軸を確かめ直している状態です。
流れは止まっていない。
ただ、水面が穏やかになっているだけ。
その静けさの中で、
「自分はどうありたいのか」
という問いだけを、大切にすればいい。
選ぶのは、いつも自分です。


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